HDDでのクリーンアップはヘッドの話であり、容量の話ではない
機械式ドライブはファイルひとつごとに物理的なシークを支払い、数十万のゴミファイルを抱えたシステムディスクは支払い続けます。ウイルススキャンは長引き、エクスプローラーのフォルダー列挙は遅くなり、断片化はそのシークをさらに倍加させます。一時フォルダーや古いキャッシュ、死んだインストーラーを掃除すると二重に効きます。スキャンが走査する対象が減り、続けて行うデフラグが並べ替えるファイルも減って、早く終わり、効果が長持ちします。本当に散らかったシステムHDDでは、スキャン時間とフォルダーを開く遅延の差は現実のもので、劇的な場合もあります。解放されたギガバイト自体は速度に何も加えません。回転するプラッターでの勝利とは、ヘッドが通るすべての経路上のオブジェクトが減ることです。
SSDでは空き容量こそがすべて
フラッシュにシーク時間はないため、10万個の一時ファイルを削除しても読み取り速度は一切変わりません。コントローラーはドライブの使用率が30%でも70%でも、どのブロックにも等しい速さで到達します。実際に崩れるのは、ドライブがおよそ80%を超えて埋まったときの書き込み性能です。コントローラーが高速に書き込むには、空きの、事前に消去されたブロックのプールが必要で、ほぼ満杯のドライブは書き込みのたびに有効データを退避させて回さなければなりません。大掃除はこの余地を取り戻し、その後のTRIMパスがコントローラーに新しく空いたブロックの再利用を伝えます。これが掃除によるSSDの正直な高速化です。読み込みが速くなるのではなく、書き込みのカクつきが消えるのです。
「SSDが遅くなった」という話がほぼ常に容量の話なのも同じ理由です。空き40GBの1TBドライブは、空き200GBの同じドライブとは別物のようにベンチマークに出ますし、容量の確保がもたらすものを取り戻す調整は存在しません。一時フォルダーだけを追いかける掃除の習慣は、満杯のSSDでは的外れです。目指すべきは一度きりの大掃除ではなく、持続する空き容量の下限です。
チェックリストはひとつ、理由は二つ
実際の作業はメカニズムの差よりも重なっているので、同じ掃除を回しつつ、各ドライブで何を買っているかを知っておきましょう。HDDではデフラグで締めくくります。掃除だけでは利益が半分しか実現しません。SSDでは「最適化」(TRIMパス)で締め、ファイル数よりも最大の容量食いを厳しく見直します。200GBの動画ライブラリをドライブから移すほうが、100万件のブラウザーキャッシュ削除よりよほど効きます。Kleaner PROのようなクリーナーはドライブごとの状況を可視化しますが、報われるのは10%の下限という習慣であって、大掃除そのものではありません。
- HDD:まずゴミを掃除し、その後デフラグ。この順番がデフラグの仕事を半分にし、効果を持続させる
- SSD:絶対にデフラグしない。大量削除のあとは「最適化」(TRIMパス)を実行する
- SSD:空き容量10〜15%の下限を死守する。それを下回ると書き込み速度は目に見えて劣化する
- 両ドライブ共通:古いインストーラー、ダウンロードフォルダー、アプリのキャッシュが安全な大物。システムフォルダーは違う
- 空き容量の下限はカレンダーではなく、大きなインストールやゲームライブラリを追加するたびに見直す
よくある質問
ファイルのクリーンアップでSSDは速くなりますか?
読み込みではありません。フラッシュにシークペナルティはないからです。掃除がSSDに効くのは空き容量の回復のみで、使用率がおよそ80%を超えると書き込み速度が落ち、余地を戻せば回復します。
掃除の後HDDは速くなったのに、SSDは変わらないのはなぜ?
HDDはヘッドの移動距離が短くなり、デフラグのコストが下がったのに対し、SSDはそもそもシークの問題がなかったからです。SSDがほぼ満杯だったなら、掃除の後は書き込みが安定するはずです。そうでなければ得られるのは容量であって速度ではありません。
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